研究概要 |
ホウレンソウ(Spinacia oleacea、アカザ科)について、抗発癌プロモーター活性試験と抗酸化活性試験で機能性成分を検索したところ、非常に強い抗発癌プロモーター活性成分の存在が示唆された。各種クロマトグラフィーで分画・精製し3種の活性成分(A,B,C)を単離した。これらの機器分析データを解析し、成分Bはグリセリンにガラクトース一分子とリノレニン酸二分子が結合した中性糖脂質の一種であることが示された。この成分は以前に、タイ産のこぶミカンから抗発癌活性成分として単離されているものであるが、日常的に食卓に上がるホウレンソウにも存在することを明らかにした。 成分Aは成分Bのガラクトースにさらに一分子のリノレニン酸が結合していると判断され、成分Cは成分Bのガラクトースにさらに一分子のガラクトースが結合していると推定された。現在、これらの化学構造の詳細(結合位置や立体構造など)を検討中であるが、Raji細胞を用いる抗発癌プロモーター活性試験に置いて、活性はB>A>Cの順に強かった。現在、ホウレンソウ9品種を露地と水耕で栽培栽培し、上記の成分を薄層クロマトグラフィーで存在量を検討したところ、品種や栽培法で含量が変動している可能性が示唆されている。 ゴボウにはクロロゲン酸関連化合物が存在することが知られている。そこで、スーパーマーケットで購入した数品目のゴボウや農場で栽培したゴボウについて、クロロゲン酸関連化合物の含量を著鬱したところ、これらの成分の含量が有意に変動することが示唆された。 これらの研究実績は、野菜には様々な機能性成分が存在するが、その含量は品種や栽培法で変動することを示し、健康に優良な品種の育成が可能なことを示している。
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