研究概要 |
ホウレンソウ(Spinaea oleacea,アカザ科)に含まれる抗発癌プロモーター活性成分を検索した結果、2種の強力な活性成分を単離した。機器分析データと幾分の化学反応と酵素反応で、それらの構造は、1,2-di-O-α-linolenoyl-3-O-β-galactopyranosyl-sn-glycerol and 1-O-α-linolenoyl-2-O-cis-7,10,13-hexadecatrienoyl-3-O-β-galactopyranosyl-sn-glycerolであると決定した。一方、前述2種の成分の糖部分にリノレン酸が結合した成分を単離したが、その活性は弱かった。前述2種の活性成分の含量をホウレンソウ9品種間で比較したところ、有意な差が認められる結果を得た。また、これらの活性成分で前処理したRaji細胞においても抗発癌活性が認められたので、化学的反応でプロモータ活性を失活させるわけではないことが判明した。これらの成果の発表論文は現在作成中である。この種の成分はタイ王国の薬用植物から抗ガン成分として単離され、幅広い抗癌作用の知られているものであり、日常的に食卓にあがる野菜に含まれることを証明したことは大変興味深い。 また、ブロッコリーに花蕾について抗発癌活性成分を検索し、α-linolenoylmonoglycerideとlinoleoylmonoglycerideを単離・同定した。 これらの研究実績は、疫学的調査によって野菜・果物の消費の多い地域では消化器系のガン発症が少ないことが知られており、これらの成分がその役割を果たす可能性が高いことを示唆している。
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