本研究では、ホウレンソウ、ゴボウ、ジュート、ブロッコリーを研究材料として、抗発癌プロモーター活性成分あるいは抗酸化活性成分を検索し、以下の成果を得た。 1.ホウレンソウの可食物から、Raji細胞を用いる抗発癌プロモーター活性試験を指標として、2種の不飽和脂肪酸を構成成分とする糖脂質(モノガラクトシルヂアシルグリセロール)を単離同定した。これらは、既知活性成分と同等の活性を示し、しかも、ホウレンソウの9栽培品種間で有意な変動が見られることを初めて明らかにした。 2.ゴボウの可食部から、抗酸化活性の知られているクロロゲン酸活性を単離・同定し、市場品についてそれらの含量を測定したところ、有意な含量変動が認められることを明らかにした。 3.ジュート(日本では、別名モロヘイヤ)の可食物(若葉)から、抗発癌プロモーター活性成分としてモノガラクトシルヂアシルグリセロールとジテルペンであるフィトールを単離同定した。熱水(調理の一条件)で処理したところ検出できる含量は増加し、調理中にも分解することなく、体内に摂取できることを示している。 4.ブロッコリーの可食部(花蕾)から、抗発癌プロモーター活性成分として、2種のモノグリセライド2種を単離同定した。これらの活性は、前述のモノガラクトシルヂアシルグリセロールの活性に比べて幾分弱いが、体内で代謝される中間物質にも活性のあることを示唆し、食材に存在する機能性成分の役割を考える上で大変興味深い活性成分である。 以上、日頃摂取する野菜に多様な機能性成分が含まれていることおよびそれらの含量が栽培品種間や栽培条件で有意に変動することを明らかにした。健康維持に果たす野菜の役割が大きいこととともに、将来の機能的に優良な品種の育成に貴重な基礎データを提供することができた。
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