研究課題/領域番号 |
11660119
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
駒井 三千夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80143022)
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研究分担者 |
伊藤 道子 東北大学, 農学部, 教務職員 (60250734)
古川 勇次 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60005626)
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キーワード | ビタミンK / メナキノン-4 / ビタミンK_1 / ゲラニルゲラニル二リン酸 / ラット |
研究概要 |
メナキノン-4(MK-4)には、破骨細胞系に対しては分化促進あるいはアポトーシス作用を介した骨吸収抑制作用、骨芽細胞系に対しては骨形成促進作用があり、これらが相まって骨粗鬆症予防効果を発揮しているものと報告されている。MK-4は肝臓における血液凝固因子の活性化作用以外にも、こうした内分泌物質様の重要な生理作用を各組織において発揮していることが示唆され始めてきた。しかし、その生理機能と組織内生成については、不明な点が多い。このため本研究は、ラットの腎臓を用いたMK-4生成酵素(変換酵素)の精製とその反応機構の解明を目的とした。この1年間は、酵素生成の諸問題にぶつかり顕著な進展はみられなかったが、酵素精製を進める一方で以下の実験を行い、MK-4生成機構を探る上で有用な知見を得た。 今回、消化管内に腸内細菌由来のMK-nが存在しない実験系、すなわち、腸内細菌叢を欠く無菌ラットを用いて、消化管上皮組織での変換活性があるか否かについて検討した。ビタミンK_1からMK-4への変換反応は、当教室で確立したin vitro反応系で行った。Wistar/Riken無菌ラットの各組織(腎臓、胃、小腸、結腸、等。消化管組織は粘膜側組織を若干の筋層をも含めて剥がして供した。)ホモジェネート(900xg上清)を粗酵素液として用いて、基質をビタミンK_1とゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)とした反応系で各組織の変換活性を調べた。 その結果、ビタミンK_1からMK-4への変換活性は、膵臓、唾液腺、脳、精巣、腎臓、心臓、等で高かったが、胃・小腸、結腸のいずれの消化管組織においても全く認められなかった。このことから、経口的に摂取されるビタミンK_1は、消化管から吸収されて各組織に到達後にMK-4に変換されることが示唆された。
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