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1999 年度 実績報告書

水溶液構造とタンパク質機能および食品物性

研究課題

研究課題/領域番号 11660123
研究機関東京大学

研究代表者

宮脇 長人  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80012053)

キーワード水溶液構造 / 水分活性 / 酵素・基質親和性 / 酵素活性 / 疎水性相互作用 / アルコール脱水素酵素 / リゾチーム / β-ガラクトシダーゼ
研究概要

水溶液はタンパク質機能や食品物性の発現の場であり、そこでの水の状態の把握は極めて重要である。水は水素結合によって強く会合し、X線回析などによって観測できる液体構造を形成していることが知られており、溶質の存在はその"構造"に影響する。従って、食品中の水の状態の把握はこの水溶液構造を正しく反映する必要がある。本研究では、水溶液構造の物理化学的解析とそのタンパク質機能および食品物性との相関関係の解明を目標とする。
種々の低分子および高分子の単成分系水溶液について溶液論的解析を行い、水分活性(a_w)および水の活動度係数の溶質濃度依存性から、水溶液構造のマクロな指標として、次式に示す水の活動度係数(γ_w)の濃度依存性のパラメーターαを用いた。
1nγ_w=αX_s^2+βX_s^3 X_s:溶質モル濃度
最初に酵素反応と水溶液構造との関係について検討した。アルコール脱水素酵素、リゾチーム、β-ガラクトシダーゼについて、種々の添加物をさせて水分活性および水溶液構造を変化させ、酵素反応への影響を検討した。その結果、酵素反応に対する水分活性の影響は一次関数的であり、また、一定水分条件においては水溶液構造は酵素基質間アフィニティに影響し、上記パラメーターαと酵素反応の親和定数Km値の間にはいずれの酵素においても正の相関を見ることができた。このことは水溶液構造変化は酵素基質間親和性に影響し、溶液構造の強化は酵素基質間相互作用を強め、逆に構造の弱化は親和性を弱めることを示している。この原因としては水溶液構造による酵素基質疎水性相互作用に対する影響が関与していることが推定された。さらに、タンパク質熱安定性と水溶液構造との関係についても、両者の間に強い相関関係があることが明らかになりつつある。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Sueko Matsue, Osato Miyawaki: "Influence of water activity and salvent ordering on enzyme kinetics of alcohol dehydrogenase, lysozyme, and β-golactosidase"Enzyme Microb. Technol.. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] Tomoyuki Fujii 他: "Scaling analysis on elasticity of agarose gel near the sol-gel transition temperature"Food Hydrocolloid. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] Satoski Iwamoto 他: "Conductance and relaxations of gelatin films in the glassy and rubbery states"Int. J. Biol. Macromol.. 26. 345-351 (1999)

  • [文献書誌] Rungnaphar Pongsawatmanit 他: "Ettect of sucrose on physical properties of alginate dispersed aqueous system"Food Sci. Technol. Res.. 5(2). 183-187 (1999)

  • [文献書誌] Takaharu Sakiyama 他: "Ettective thermal diffusivity of food gels impregnated with air bubbles"J. Food Eng.. 39. 323-328 (1999)

  • [文献書誌] Osato Miyawaki 他: "Kuo/Gardner, ed. "Lipid Biotechnology""Marcel Dekker, New York (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] 宮脇長人 他: "食品工業における科学・技術の進歩(VIII)"環境調和技術としての凍結濃縮法の新しい展開""光琳. 22 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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