研究概要 |
本年度は、まず可溶性食物繊維の一つであるガラクトマンナンを用いて牛乳製ラクトフェリンおよび卵白製シスタチンの多糖修飾を行った。多糖糖鎖の結合にはヒートパック法によるメイラード反応を利用した。次ぎにポリマンノシル化シスタチンの大量生産を行なった。ポリマンノシル化タンパク質の分離精製にはイオン交換およびアフィニティクロマトグラフィーを用いた。 精製された多糖修飾タンパク質については、両親媒性、プロテアーゼ耐性および耐熱性を調べた。その結果、ラクトフェリンおよびシスタチンのいずれについても多糖修飾すると分子表面特性が改良され、また構造安定性が飛躍的に上昇することが明らかにされた。また、これらの多糖修飾タンパク質については、食品衛生学的安全性の評価を行なった。すなわち、復帰変異テストとしてサルモネラ菌を用いたエイムズテストおよび枯草菌を用いたレックアッセイによって,変異原性を調べた。さらに,ラットを用し、た急性毒性試験,(単回投与試験)を実施した。データの統計処理を行なった結果、多糖修飾ラクトフェリンおよびシスタチンのいずれについても、コントロール区との間に有意差がないことが明らかにされた。 次年度は、これらの多糖修飾タンパク質を抗菌・抗ウイルス剤として実用化するために,実際に畜肉製品や魚肉製品の製造過程でこれらを加えてその効果を測定する。特に抗ウイルス剤としては生食用カキを製品化する際,洗浄用水あるいは充てん用水として使用する可能性について検討を加える。また研究のとりまとめの際には,多糖修飾ラクトフェリンおよびシスタチンの特性を生かした食生活への利用形態について検討を加え,考察する。
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