平成11年度は基礎調査として北海道大雪山の2箇所の代表的登山口、黒岳に向かう層雲峡と旭岳に向かう旭岳温泉における登山者のアクセス選定に関する調査をおこなった。7月末の夏のシーズンと9月中旬の紅葉シーズンの2回に分けて、登山口でのアンケート調査およびインタビューをおこなった。 その結果、増強工事のため運行が停止された旭岳ロープウェイの旭岳登山口と従来通り運行されている層雲峡登山口を比較することが可能になり、旭岳ロープウェイの運休が登山ルート選択に及ぼす影響を調べた。すなわち、予想されたように利用者はロープウェイの使える層雲峡に集中している。一方で、ロープウェイが運行されているときには余り利用されていなかった旭岳温泉からの歩道利用者数が増加した。また、ロープウェイがないから静かな山旅が楽しめることを期待している登山者もいることが判明した。 平成12年度には旭岳温泉ロープウェイの運行が再開されるので、今年度のデータと比較するために同様な調査をおこない、動力アクセスの有無が登山者のルート選択に与える影響が一層明らかにできると期待している。また、その他の地域においても動的アクセスが登山者に与える影響を探り大雪山における結果が一般化できることを実証したい。
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