・「環境区分手法」の詳細検討 より広い地域での解析を行うために、全国の人口密度データを整備し、全国を8地方に分けた場合と日本全体について検討を行った。0から100の値をとる自然面積率に比べてレンジの広い人口密度データを組み合わせてクラスタ分析を行うために、人口密度データのスケーリングを行う手法を開発し、地方別の分類が適切に行えるようにした。また、これまで自然面積率のみでは表現しきれなかった同一クラス内の土地利用パターンの違いを説明するために、自然面積率と人口密度で表していた都市の発展段階モデルを拡張し、農地面積率を加えた3次元空間内で分類を行う手法を開発した。これにより、これまでの2次元モデルでは表すことのできなかった、森林から農地、森林から都市、農地から都市、などといった都市の発展段階をより詳細に記述することが可能となった。 ・リモートセンシング(RS)データの検討 緑地環境区分に使用する国勢調査人口データの調査年度に同期して取得された衛星RSデータで、3次メッシュの土地面積率推定に用いることのできるものとしては、現時点ではランドサットTMしかないことがわかった。そこで、近畿地方をテストサイトとし、国勢調査の行われた平成2年度、7年度分として1989年、1996年に取得されたTMデータ各1シーンを用いた。30mメッシュの1989年のTMデータを土地被覆区分した結果を3次メッシュに集計し、同時期に作成された国土数値情報の森林・農地面積率と比較したところ、全体的な傾向としてほぼ合致する結果を得られたので、同様の手法で1996年のTMデータと平成7年の人口密度を用いて緑地環境区分を行った。これにより、定期的な情報更新が行われていない国土数値情報を用いなくても、衛星RSデータと国勢調査結果を利用して、本手法が定期的に適用可能であることがわかった。
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