研究概要 |
温暖帯里山域における森林景観の基本構造の把握とその景観管理理論の確立を目的として、以下のような課題を検討した。 1.樹形解析からのアプローチ 2.静岡大学演習林での事例研究 3.森林景観に出現する動物相の長期モニタリング 以上のような試みから、いくつかの重要な結果が得られた。まず第1に、3種の針葉樹の樹形形成パターンが解析され、その結果、枝条の現存量F (t)が、以下のような拡張相対成長式で近似できることがわかった。 F (t)=K/(1+(K/L-1)t^<-r>),(1) ここで、r値は環境条件に関わらずほぼ3であった。しかし、17種の広葉樹のそれは、単純相対成長式で近似でき、さらにそのr値は針葉樹より小さく、平均で2.18であったその他、枝の脱落パターン、葉重/枝条長比などにも違いが認められた。これらの違いは常緑針葉樹と広葉樹相互間の樹形や成長戦略の違いと密接に関係している。また、広葉樹のCB解析の結果から、広葉樹が競合的て定着的な戦略を示すことが示唆された。 最後に、静岡大学上阿多古フィールド(旧演習林)の森林景観と成長量を調査し、上述したような研究から導かれた「多交通理論」の観点から、その森林景観管理計画案を作成した。
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