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1999 年度 実績報告書

深層地下水が降雨流出・崩壊発生に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 11660146
研究機関筑波大学

研究代表者

恩田 裕一  筑波大学, 地球科学系, 講師 (00221862)

研究分担者 竹中 千里  名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40240808)
キーワード深層地下水 / 岩盤湧水 / 2次ピーク / 砂岩 / チャート
研究概要

中古生層の降雨流出過程には,岩盤内部の地下水が大きく寄与していることが明らかとなってきた.しかし,中古生層には砂岩・頁岩・石灰岩・チャート・緑色岩などのさまざまな岩石が含まれており,それぞれの基盤岩に対応した流出過程は未だに明らかとなっていない。しかし,砂岩・頁岩やチャートといった中古生層に普遍的に見られる基盤岩の流出特性を明らかにした研究はなく,防災上問題があると考えられる.本研究の研究地域は足尾山地東部とした.この地域は中古生層足尾帯に属し,主に砂岩とチャートが見られる.試験流域の地質条件として砂岩とチャートの2種類を設定し,それぞれ流域面積10ha程度の大流域,1ha程度の小流域を設置し流出解析を行った.試験流域での流量観測は1999年9月より開始した.流量の測定は,パーシャルフリュームや三角堰を用いて行い,データロガーにより連続観測を行った.パーシャルフリューム付近に雨量計を設置し,降雨量の観測も同時に行った.さらに電気伝導度計を設置し,渓流水質の変化についても観測を行った.
1999年10月27日に降雨流出イベントが観測された.砂岩の小流域のハイドログラフでは,降雨強度のピークに対応して流量が増加し,降雨終了直後に流出の1次ピークを形成した.さらに,降雨から6時間後に小さな2次ピークを形成し,2次ピーク後の流量の減衰はチャートに比べてかなりゆるやかだった.また降雨後には電気伝導度が大きく増加した.一方チャートの小流域では,降雨強度の大きい時間でも砂岩に比べて流量の増加量は比較的小さかった.しかし,降雨終了後に急激に流量が増加し,降雨ピークから3時間後に流出ピークが見られた.流出ピーク後の減衰はかなり早く,2日程度で降雨前の流量に戻った.電気伝導度には顕著な変化は見られなかった.以上の結果から,砂岩流域では,降雨流出に基盤岩地下水が大きく影響を与えていることが推測される.チャート流域では,チャート山地に特有のレキ質の土層が影響を与えている可能性がある.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 恩田裕一、小松陽介、辻村真貴、藤原淳一: "降雨流出ピークの遅れ時間の違いからみた崩壊発生時刻予知の可能性"砂防学会誌. 51(5). 48-52 (1999)

  • [文献書誌] Tsujimura,M.,Onda,Y.,Fujiwara,J.and Ito,J.: "Hydrometric and tracer approaches to investigate rainfall-runoff processes in mountainous basins with different geology"International Association of Hydrological Sciences Publication. 258. 159-166 (1999)

  • [文献書誌] Matsukura,Y.and Onda,Y.: "Evaluation of the depth of avalanching on a slope composed of dry granylar assemblies by tilting tests"Trans.Japan.Geomorph.Union. 20(4). 551-558 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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