研究課題/領域番号 |
11660155
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
吉本 敦 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 助教授 (10264350)
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研究分担者 |
行武 潔 宮崎大学, 農学部, 教授 (30174832)
庄司 功 筑波大学, 社会工学系, 教授 (20282329)
尾崎 統 統計数理研究所, 予測制御研究系, 教授 (00000208)
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キーワード | 森林経済学 / 森林生態学 / 森林測樹学 / 農地利用政策 / 統計学 / 種多様性 / ランドスケープ・マネジメント / 確率モデル |
研究概要 |
本研究は、中山間地域における農林業の資源管理・経営特性を把握し、市場の自由化を前提とした持続的農林資源管理のあり方を時空間的な視点から探求しようとするものである。 本年度は、これまでの研究成果を踏まえ、農・森林の土地所有者の意思決定と行動様式をシミュレーションできるような、土地利用変動プロトタイプモデルを開発し、市場の自由化に伴う市場価格の不確実性の変化が伐採地の拡大や土地の転用等を引き起こす可能性について分析を行った。 分析では、経営を持続できる価格を最低許容価格とし、価格ダイナミックスの変化に対する最低許容価格の変化に注目した。分析の結果、市場価格のボラティリティの増加に対しては、最低許容価格は減少し、その付近に市場価格が近づくと、収穫時期の遅延が生じることが分かった。次に、市場価格の傾向的な減少を仮定した場合、最低許容価格は逆に上昇し、その付近に市場価格が近づくと収穫時期が短縮され、管理放棄への土地利用の転用が収穫時期の延長を伴わず即座に行われることが分かった。 一般に、自由化などの新たな政策が導入されると、まず短期的に市場価格のボラティリティが増加することが予想される。仮にボラティリティが増加すれば、経営持続の最低許容価格は減少する。その結果、減少した最低許容価格と市場価格との乖離が広がり、その利ざやを狙った供給サイドの競争の激化が予測される。一般的に供給サイドの競争が激化すれば、市場価格は最低許容価格に近づくように減少し、傾向的な価格の減少が生じる結果となる。そして、この減少は逆に最低許容価格を上昇させる結果になり、供給サイドの経営継続が困難になる確率が増すものと考えられた。
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