通常の陸上植物の種子散布様式とは大きくその散布様式が異なるマングローブ林構成樹種の種子散布動態と個体群内(集団内)の遺伝的な構成とその動態を明らかにすることが本研究の目的である。 本研究は3年計画の研究であり、本年度は、その第1年目の研究が行われた。 研究計画の、第1年目は当初の研究計画通りDNAマーカーとして利用可能な塩基配列部位を特定することであり、供試材料として、沖縄のマングローブ林の主要な構成種の中からヤエヤマヒルギとオヒルギが用いられた。 DNAの抽出にはCTAB法と一部改良したIce-cold buffer法が用いられた。ゲノムDNAをランダムに増幅し、シーケンスによってマイクロサテライトとして利用可能な塩基配列の部位を検索した。 その結果、マイクロサテライトとして利用可能な塩基配列が重複している部位のいくつかが特定された。また、それら塩基配列が重複している部位のいくつかは、マイクロサテライトとして十分に利用可能であろうとも推測された。 研究第2年目(平成12年度)は、当初の研究計画に基づき、それら検索されたマイクロサテライトとして利用可能な塩基配列の部位を含むプライマーを用いて、個体間の識別、親子関係の識別の可能性について検討を加える予定である。
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