研究概要 |
今年度の目的は瀬-淵構造の渓流の瀬-淵構造をその場の特性との関連で整理し,両者の関係を明確にすることであった.現在,調査結果をまとめ,分析を行なっているところであるが,当初の目的は概ね達成できたと考えている. 現地調査を北海道北部の自然渓流と中部地方の人工改変渓流において行なった.過去における調査地の3渓流を加え,合計5渓流の瀬-淵構造を分析対象とした.瀬・淵の分類法およびそれを明らかにするための調査手法等は過去に高橋(本研究遂行者)が提唱したものである.一応この分類方法は妥当であるとしているが,調査箇所の増大に伴い,まずこの分類方法が正当であるかどうかの検討を再び行なった.その結果,やはりこの分類手法は合理的であるという結論に至った. 分類手法の再検討はかつて行なったような単純な吟味ではなく,統計的手法を用いた.そしてこれは単に分類の合理性の吟味だけではなく,瀬や淵などの河床型の比較をより合理的に行なえるような手法の開発というプロセスでもあった.これによって調査対象渓流の相違を越えて河床形の特性の特徴を比較できるようになった.また,河床型を客観的に記述する尺度をより明確にできるようになったことから,瀬や淵などの形成要因や形成過程と河床形の形状の関係を論じる基礎部分を明確にできた. 以上のような検討の結果,流路工によって改変されている渓流と自然,あるいは非常に自然状態に近い渓流との間には瀬-淵構造に大きな差がみられた.また,自然渓流同士の比較でもやや特徴的な構造を示す渓流がみられた.現在,この相違の要因の検討を行っている.
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