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1999 年度 実績報告書

植物バイオマスの熱分解機構の解明とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 11660164
研究機関京都大学

研究代表者

河本 晴雄  京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (80224864)

研究分担者 坂 志朗  京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50205697)
キーワードバイオマス / セルロース / ヘミセルロース / リグニン / 炭化機構 / 熱分解
研究概要

石油などの化石資源の枯渇の問題およびそれらの使用に基づく地球温暖化などの地球規模の環境問題が危倶される中、エネルギーべ一スで年間使用化石資源の10倍近くもの量が毎年光合成により生産される植物バイオマスは化石資源に替わる再生産可能な資源として注目されている。しかしながら、その高分子で固体である性質は有用ケミカルスおよび燃料としての利用を困難にしており、有効な低分子化方法の開発が急務となっている。本研究では、生物的および化学的に安定な植物バイオマスも熱には弱いことに着目して、選択的な低分子化方法を提案することを目的に、植物バイオマスの3主要成分、セルロース、ヘミセルロース、リグニンの熱分解における低分子化および高分子化、炭化機構について検討を行った。その結果、以下の点が明らかになった。(1)多糖であるセルロース、ヘミセルロースは、加熱によりまず、その繰り返し単位サイズのレボグルコサンなどの無水糖に変換され、その重合・高分子化が炭の形成につながる鍵を握る反応であり、さらに、安定な無水糖を与えるセルロースよりも安定な無水糖を与えないキシラン(ヘミセルロース)ははるかに炭を与えやすいことが明らかになった。また両者ともに、無水糖を溶解する溶媒(スルホラン)中で熱分解することにより、無水糖の重合が抑制されることで、高分子化および炭化生成物がほぼ完全に抑えられることも見出されている。(2)リグニンについては、一定の繰り返し単位を持たないことから、代表的な結合様式を持つ一連の2量体モデル化合物の熱分解特性を低分子化、高分子化、炭化反応に注目して検討した結果、多糖とは異なり、α-位に水酸基を持ちキノンメチド中間体を生成しやすい構造は高分子化を引き起こすが、この高分子化と炭化には相関がなく、リグニンの場合にはベンゼン環自体が非常に反応性の高い中間体へと変化し、その生成と同時に炭化物へと変換されることが示唆されている。

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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