研究概要 |
木造軸組構法における,木ダボを引抜抵抗型の接合具に用いた各種の接合法,とくに柱一土台仕口について,理論と実験の両面から研究を行った。 本年度は,木ダボの,被接合材の繊維と直交方向の引抜挙動について検討した。ダボ径と埋込み長さを変化させた実験を行い,引抜強度の実験値に,ラップジョイントのVolkersenモデルに基づいた最大せん断応力仮説による理論値を当てはめて,接着層のせん断性能を決定した。その結果,接着層のせん断強度とせん断剛性は被接合材の繊維と平行方向にひき抜く場合と差が認められず,仕口の設計に都合がよいことがわかった。 引抜耐力は直径12mmのダボを土台部材に90mm埋込んだ場合,17kNに達することがわかった。これらの結果に基づいて,12mmのダボを接合面に4本配置した柱一土台接合法を考案した。引抜試験の結果,引抜耐力はダボ1本のそれの4倍の大きさとなり,ホールダウン金物に匹敵する耐力が得られた。したがって,この接合法を用いる場合,接合金物による補強は必要がないことがわかった。
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