研究概要 |
rFeIFN-ωによるアコヤウイルス病の予防・治療効果 真珠貝(アコヤガイ)はアコヤウイルス感染による大量斃死の被害を毎年受けており、対策が急務である。99年度は、抗ウイルス剤である遺伝子組み替えネコインターフェロン-ω(rFeIFN-ω)投与によるアコヤウイルス病の予防・治療効果を検討した。rFeIFN-ω投与は、アコヤガイ軟体部湿重量1Kg当たり1MU(メガユニット)の割合で、二日間連日接種した。アコヤウイルスは自然発病貝の閉殻筋からEPC細胞を用いて分離培養し、アコヤガイに1回接種し、感染させた。 rFeIFN-ωを投与による発病予防実験では、ウイルス接種の1,3,5日前にそれぞれrFeIFN-ωを投与した。その結果、rFeIFN-ω接種がウイルス接種日と近いほど低い斃死率を示し、その生残個体は対照区に比べウイルス感染による筋肉の病変は小規模で限局的なものに抑えられていた。 rFeIFN-ω投与による治療実験では、ウイルス接種の1,2,3日後からそれぞれrFeIFN-ωを投与した。その結果、実験期間内に斃死個体はみられず、治療効果が実証された。これら生残個体について病理組織学的観察および電子顕微鏡観察を行った結果、ウイルス感染により形成され筋組織の壊死病巣内において、rFeIFN-ω投与により活性化された無顆粒球が活発な貪食像と膠原線維の著しい産生像を示し、壊死病巣は治癒していた。以上の実験結果より、本研究ではrFeIFN-ω投与がアコヤウイルス感染によるアコヤガイ斃死に対する防除法として効果があることが示された。
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