研究概要 |
殺藻細菌を用いた赤潮防除を実用化する目的で,殺滅する植物プランクトン種ができるだけ特定種に限定された細菌株,あるいは"ミサイル"的に利用するために運動性があり特定種の体外排出有機物に対して誘引されるような細菌株を分離しようとした. 常法(Fukami et al.,1996)に従い,1999年4月から10月にかけて高知県浦ノ内湾から殺藻細菌の分離を試みた結果,G.mikimotoiを初めとした様々な植物プランクトンの増殖が活発であった4〜7月中旬にかけては殺藻細菌がほとんど分離されなかったのに対し,赤潮プランクトンの発生が比較的低下していった7月中旬から10月初旬の期間に集中して殺藻細菌が分離されることが明らかとなった.また,今年度分離されたすべての殺藻細菌およびこれらの殺藻細菌が示すG.mikimotoi・Skeletonema costatum・Chattonella antiqua・Heterosigma akashiwo・Heterocapsa circularisquamaの5種の赤潮プランクトンに対する増殖阻害活性について調べた.その結果,G.mikimotoiを殺藻細菌分離用アッセイ藻に用いたため,当然ながら同藻に対する殺藻細菌がわずかな例外を除いてほとんどを占めていたが,比較的特異的な増殖阻害活性を示す殺藻細菌が数多く分離された.特に上記の5種の赤潮プランクトンのなかで,G.mikimotoiのみを殺滅する細菌株が新たに22株分離された.さらに,分離殺藻細菌の中から運動性を保有する株のスクリーニングを行ったところ,植物プランクトン種に対して比較的広く殺滅効果を示す多くの菌株において運動性が認められた.次年度は,これらの細菌株について特定種の赤潮プランクトンの体外排出有機物に対する走化性の有無について検討していきたい.
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