研究概要 |
1.食用海藻ヒトエグサによる全血流動性向上効果の調査 ヒトエグサ全葉体を10%添加した高脂肪・高コレステロール飼料を作製し、ヒトエグサを添加していない高脂肪・高コレステロール飼料を対照として11週齢SD系SPF雄ラット(Slc:SD、日本エスエルシー(株))を8週間飼育した。飼育終了後血液を採取し、細胞レオロジー測定装置MC-FAN KH-3で全血流動性を測定した。なお,投与した「高脂肪飼料」の組成は日本クレア(株)CE-2に30%の割合でマーガリンを加えたものであり、「ヒトエグサミネラル添加高脂肪飼料」の組成はCE-2に30%のマーガリンと10%のヒトエグサ粉末を加えたものである。正常ラット試験区には基礎飼料(日本クレア(株)を投与した。8週間後に,高脂肪飼料投与群(対照)は基礎飼料投与群(正常ラット)に対して全血流動性が89%と大きく低下したが、ヒトエグサ粉末添加高脂肪飼料投与群では、その悪化が対照の99%であり,悪化は有意に抑制された。 2.海苔製品による赤血球変形能向上試験 乾海苔,焼き海苔,味付け海苔から総脂質を抽出し,リン脂質を単離した。ヒト赤血球と反応させ,その赤血球変形能に対する効果を調べたところ,乾海苔では対照に対して11.9%の向上効果が認められた。焼き海苔と味付け海苔からはリン脂質がほとんど単離されず,効果は認められなかった。焼き海苔と味付け海苔では加工工程中に加熱を受けること,調味料を添加されることにより,リン脂質の酸化が起き,その結果変形能向上効果が認められなくなったものと考えられた。
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