研究概要 |
酸化的(活性酸素発生)ストレスを受けた魚生体中の脂質過酸化の実体を明らかにするために、HPLC法(過酸化脂質LOOHとヒドロキシ脂質L-OHの微量定量)やGLC法(脂肪酸分析)、FAB-MS法(構造解析)等を用いて研究した。平成11年度の実験で酸化的ストレスを受けた魚は脂質の過酸化が起こり、特に肝臓にL-OH蓄積することを明らかにした。 平成12年度においては、ティラピア肝細胞由来の株化細胞HepsT-1及びラジカル発生剤(AAPH,H_2O_2)を用いてモデル実験を行った。増殖期の細胞にAAPH((20mM)を投与し培養をすると、L-OHの増加が観察された。この時、SOD(スーパーオキサイドジスムターゼ、カタラーゼ活性は減少の傾向を示したが、GPx(グルタチオンパーオキシダーゼ)活性は著しく増加し、L-OOHからのL-OHの生成の機構が推測された。また、H_2O_2投与はカタラーゼ活性を著しく上昇させたが、GPx活性はむしろ減少しL-OHの蓄積もおこらなかった。 酸化的ストレスによって増加するL-OHピーク群の構造をFAB-MS法で分析した。分子量的にはヒドロキシ脂肪酸含有トリグリセリドであると推測された。詳細な構造については、引き続き検討中である。
|