研究概要 |
11-デメトキシ体および10-デヒドロキシ体の合成 平成11年度は、ラメラリンDの3位と4'位の水酸基および2位と3'位のメトキシ基の細胞毒性活性に対する影響を明らかにしたが、11位のメトキシ基の影響は調べられておらず、また、10位の水酸基に関しては間接的に評価しただけであったので、これらを取り除いた11-デメトキシ体および10-デヒドロキシ体を合成し、細胞毒性を評価し、これらの置換基の活性に対する寄与を明らかにすることにした。まずは、石橋等の方法によるこれらのラメラリン誘導体の合成を検討した。この方法では、11-デメトキシ体および10-デヒドロキシ体の合成鍵中間体として、それぞれ、6-benzyloxy-1-(4-benzyloxy-3-methoxy) phenylmethylisoquinolineおよび1-(4-benzyloxy-3-methoxy) phenylmethyl-7-methoxyisoquinolineが必要であるので、Bischler-Napieralski法によるこれらのモノアルコキシベンジルイソキノリンの合成を試みたが、環化反応が全く進行しなかった。そこで、Steglich等の方法による合成を検討した。現在は、この方法での11-デメトキシ体および10-デヒドロキシ体の鍵中間体となる2(-2-bromo-5-benzyloxyphenyl)-1-aminoethaneおよび2(-2-bromo-3-methoxyphenyl)-1-aminoethaneの合成まで進行している。 パパベリンから誘導したラメラリンアナログの合成 10位、11位、3'位および4'位全てがメトキシ基で置換されたラメラリンDアナログは市販試薬パパベリンからの誘導が可能であり合成ステップを大幅に短略することができるので、平成11年度に報告した2-メトキシ-3-ヒドロキシ体以外にさらに3種(2,3-位無置換体とその10,11,3',4'-脱メチル体および2,3-メチレンジオキシ体)を合成し細胞毒性を調べたが、最も高いものでも活性は天然物(ラメラリンD)の1/100程度であった。
|