[要約]平成11年度はサメ軟骨中に存在するマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP_8)阻害成分の分離を目的とした。申請時の予想では阻害成分はタンパク質またはペプチドであると考えて実験を行った。しかし、今年度の研究結果により、阻害活性は酸性多糖類画分に認められることが明らかとなった。 [方法]乾燥サメヒレ軟骨を出発材料として用いた。従来の2M塩酸グアニジン抽出以外にも今回水抽出を試みた。試料をドライアイスと共にミキサーで粉砕し、6倍量の純粋を加え濾布中で圧搾し抽出液を得た。この抽出液をアンフォラインを加えずに調製用等電点電気泳動装置(Rotofor)により分画した(Autofocusing法)。さらに阻害活性画分を逆相およびゲル濾過HPLCにより分画した。 最終的な画分の組成分析を行った。 [結果]1)阻害活性は水抽出により回収できた。そのため食品への応用が容易となった。2)活性成分は水溶液をAutofocusing法により酸性画分に回収することができた。また逆相HPLCには保持されず、ゲル濾過では高分子画分に回収された。3)組成分析の結果ガラクトサミンが主成分であった。以上の結果より活性成分は酸性多糖類であると結論できる。また水抽出およびAutofocusing法はいずれも有害な試薬を用いず大量処理が可能であり食品への応用が期待できる。12年度は多糖類の同定およびそのIn vivoでのMMP_8の阻害について検討する予定である。
|