研究課題/領域番号 |
11660211
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
農業経済学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
工藤 昭彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00073966)
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研究分担者 |
大鎌 邦雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40292255)
冬木 勝仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (00229105)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 東アジア経済危機 / 経済発展 / 農地法制 / 農産物貿易 / 直接投資 / 労働集約型産業 / 輸出指向工業化 / 農業環境問題 |
研究概要 |
本研究では、東アジアにおける1990年代前半の急速な経済成長が農業に多くの影響を及ぼしたことに着目し、近年の東アジア諸国の農業問題と農業政策について、環境問題を含めて検討することを課題とした。その結果、以下のようなことが明らかになった。 農業は各国とも「最も弱い」経済部門であり、その弱さ故に発現する農業問題を非農業部門の経済成長によってカバーする政策が採られてきた。しかしながら、一時期成功をおさめたかに見えた「輸出指向工業化」による開発戦略は、農工間所得格差にもとづく「農民貧困化」という農業問題を解決するものではなかったのみならず、1997年通貨危機以降の経済成長の頓挫は問題を一層深刻化させた。 韓国では、極端な都市への人口集中による農業生産力の脆弱化が農業環境問題を発現させ、その対応として直接支払い制度による環境調和的農業の育成が図られている。中国では、膨大な人口圧のために、農外部門の雇用吸収がある程度進展したにもかかわらず農業労働力は減少せず、過剰人口が農村に堆積しており、農業問題が農工間所得格差や地域間経済格差として具体化し深刻化している。ベトナムでは、政府の輸出奨励政策と外国からの直接投資が結びついた開発型の農林水産物・食品輸出の拡大が農業構造に影響を及ぼすことになるとともに、輸出への対応が農民間格差を生じさせる可能性をはらんでいる。 新たな農業問題の具体的発現形態は各国ごとにその性格を異にしているが、共通して、過剰人口の堆積による低所得問題、農業をとりまく自然環境の悪化等、以前とは異なる現代的特徴を持っている。このような環境問題も含む現代的農業問題への対応策は各国とも近年になって制度化されたばかりで、現在のところ、その効果と限界は必ずしも明確ではないということが明らかになった。
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