研究課題/領域番号 |
11660214
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
生源寺 眞一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40196580)
|
研究分担者 |
福田 晋 宮崎大学, 農学部, 助教授 (40183925)
中嶋 康博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50202213)
|
キーワード | コモン・プール・リソース / 農業水利 / 入会牧野 / プロパティ・ライト / 比較制度分析 |
研究概要 |
(1)農村地域の共有資源として農業水利施設と入会牧野のふたつを取り上げ、比較制度分析の見地からこれらの利用構造を解明するとともに、広く社会に開かれた機能の観点からその経済学的意義を整序した。あわせて、本研究をひな型とした今後の研究展開のために、上記共有資源に関するデータベース構築の可能性と手法について検討を加えた。 (2)農業水利について、とりわけ利用の時間的秩序形成において、コモン・プール・リソースの管理ルールが依然として機能している。ただし、その強度は用水の賦存量にも依存する。また、畑地かんがいに代表される新たな水利用に関しては、価格メカニズムの部分的活用による量水型資源配分の有効性が示唆された。 (3)入会牧野については、歴史的に形成された所有関係においてなおコモン・プール・リソースとしての一面を有しているが、現時点での利用関係には私的な契約行為に基づく経済活動としての側面が強い。また、放牧作業の効率の面から要請される共同性と、歴史的な入会牧野の権利関係の共同性を混同しないことが肝要である。 (4)データベース構築に関して、農業水利については、土地改良区台帳(全国土地改良団体連合会)の権利組織調査(農林水産省)の利用実態情報の接続が有効である。入会牧野については、利用実態の変容が著しいうえ、地しているため、データベース構築の有効性は乏しいものと判断された。
|