研究課題/領域番号 |
11660217
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
大原 興太郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024586)
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研究分担者 |
富岡 昌雄 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (20074081)
波多野 豪 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30249370)
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キーワード | 有機系廃棄物 / 物質循環 / 食品産業廃棄物 / 生ゴミ・糞尿 / 燃料電池 / バイオガス / 政府的支援体制 / 経済的可能性 |
研究概要 |
我が国から排出される有機性廃棄物の量は、年間約2億8,000万トンと推計される。その利用状況は、農業系、林産系のものは比較的多用途に利用されており、排出源が特定され、素材が均質である食品加工残渣についても飼料化・肥料化がみられる。一方、生ゴミ等の厨芥類は、その質・種類が雑多であり、異物混入割合が高いので、資源化するには分別が必要であり、一部リサイクルはみられるが、そのほとんどが焼却処理されている。 この生ゴミの堆肥化による循環型農業の先進事例である長井市のレインボープランの特徴は、(1)生ゴミ堆肥化を軸とした有機物の地域内循環が行われていること、(2)生ゴミの分別収集が徹底しており、良質の堆肥生産が可能となっていること、(3)事業が市民主導型で具体化したこと、(4)同プランが地域振興へと結びついていることである。計画段階から人々がネットワークを形成していく中で、リサイクル意識を啓発し、相互に協力を図って分別収集を徹底したこの方法からは多くの教訓が得られる。また波及効果として、生活系可燃ゴミの量の約30%減量、小中学校の環境教育への好影響などがある。 有機資材循環を圃場単位でなく、地域的に生産から消費の環で捉えるならば、出荷農産物の廃棄分の回収までを含める必要がある。津市・白山町で、20世帯の消費者が1台の堆肥製造器を利用し、堆肥製造農家が堆肥舎で二次発酵させるというシステムが存在する。廃棄有機資材を農産物生産に用いるには、(1)重量等の有機資材の持つ特性に起因するハンドリングコストの発生と、(2)廃棄という質への配慮が欠如しがちな行為がもたらす有害物質の混入リスクの発生が問題となる。このシステムでは、(1)の問題は消費地での一次発酵と生産物配送を兼ねた回収によって低減され、(2)はHACCP的に言えば、クリティカルポイントが存在しないことで問題がクリアされている。 また、農畜産系廃棄物のエネルギー利用の可能性については、家畜糞尿からバイオガスをとって発電を行っている施設の現状と問題点、燃料電池の開発動向と導入の実態などの調査を行った。バイオマスは貯蔵がきくなど優れた特性を有するにも関わらず、風力発電や太陽電池に比べて、小規模余剰電力の買い取り制度、新エネルギー利用促進策の制度化などの点で政府的支援体制が弱いことが明らかになった。
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