研究概要 |
平成12年度は北海道および岡山県でのリース農場制度の取り組みについて調査・分析を行った。まず、北海道においては、リース農場の代表的事例である士幌町リース農場事業と北海道農業開発公社が行っている農場リース事業について比較検討を行った。士幌町リース農場事業は可変型リース事業であり、基本施設は農協が建設、リースするものの、追加施設ないし立て替えについては入植者の希望により農協が建設しリースを行う。そのため、規模拡大が可能であり、現在半数以上の農家がフリーストール牛舎とミルキングパーラーを建設している。その結果、経産牛頭数は平均で158頭となっている。所得の最高は6,400万円、最低1,200万円とすべての経営が軌道に乗っている。しかし、永久リースであるため、後継者がいれば引き継ぐことができるが、後継者がいなかったり、途中で止めた場合農場資産はすべて農協に帰属することになる。一方、公社リース事業は売渡式リース事業であり、5年間のリース後買い取ることになる。新規就農者は入植時に機械、乳牛等への補助を受けており、またリース期間中、市町村からの援助により軌道に乗る確率は高い。そのため、調査農家9戸のうち、4年目で1,800万円の所得を確保している農家もあった。しかし、自治体からの支援について、既存農家からの不満も出ており、その援助の水準が問題となる。また、新規就農者によっては、5年後の買い取りについて負担となるケースも出ている。 一方、岡山県においてはホクラク旭研修牧場が新規就農者のトレーニング施設として有効に機能していることが分かった。また同県においては、新規就農者の農場取得は高額であるため難しく、個別相対型のリース農場が展開し、その有効性が確認できた。
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