研究課題/領域番号 |
11660232
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
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研究分担者 |
立川 雅司 農業総合研究所, 海外部, アジアオセアニア室長
川手 督也 東比農業試験場, 総合研究所, 主任研究官
秋津 元輝 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (00202531)
岩崎 正弥 愛知大学, 経済学部, 助教授 (40221791)
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キーワード | 20世紀システム / 生産力主義 / フォーディズム / 動員 / 農村研究 / 農村家族 / 山村 / 日本のデンマーク |
研究概要 |
本研究の目的は、20世紀における日本農業・農村の変容を「20世紀システム」という視点から総括し、そこに貫流する農村のダイナミズムを解明して21世紀への新しい指針を提示することにある。「20世紀システム」とは分離と統合によって生み出された産業主義と市場、フォーディズム的な生産・消費過程の編成とその基礎にある「生産力主義」、機能主義的な社会編成に向けた動員体制の三者がひとつの動的システムとして統合された経済社会のあり方である。それを解明するポイントは、20世紀システムの駆動力と受容の論理を以下に把握するかにかかっている。日本農業・農村における現代的な危機状況は20世紀システムの成功に起因するというのがさしあたりの結論である。 しかし、日本のフォーディズム農業への展開それ自身は、戦前期から準備されつつもさまざまの要因によって制約されざるを得ず、未完のプロジェクトに終わったという側面も無視できない。その限界を超える一つの道は農業のカスタマーゼイションにありそうである。さらにまた、20世紀システムを受け入れてきた受け手の論理に底流する「場の豊かさ」を求める「場の論理」に主体的な可能性を見出しうる。それは個別レベルでは、変革の主体として活躍し始めている女性農業者リーダーに具現されることもありうる。その自立は人間と自然、人間と人間との共生を実現できるかどうかにかかっている。このことは、翻って都市と農村、農村と山村といった空間レベルでの共生にも通じる。その際に、有益な視点は、農村や山村が社会的に構成される認識論的概念だということである。
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