研究概要 |
畑地用水計画の重要な基礎諸元である基準蒸発量は,気象データからペンマン式により算出される。気象庁の気象データ収集システムであるアメダスは,1974年に運用が開始され約20年間のデータの蓄積がある。ペンマン式の計算に利用できる気温,日照時間,風速等を測定している観測所は全国で約840カ所ある。アメダス気象データのように多地点の長期間にわたるデータの中から得ようとする情報を引き出すには多大な労力が要求される。その労力軽減のため,本研究ではアメダス気象データ格納データベースを構築し,必要情報を分布図として表示するソフトを作成した。アメダス時日別データ収録CDROM1枚には1年分のデータが納められており,ハードディスク上に作成したデータベースに,1976年以降の全データを複写収録した。データベースのサイズは2000年までで約10Gバイトとなっている。データ抽出描画プログラムはVisual Basicで記述し,対象とする観測地点,気象要素,期間を選択することにより,期間内平均値,合計値そしてペンマン式により基準蒸発量を計算して,結果をデータファイルへ出力し併せて等値線図ないしプロット図を描くものである。地図の海岸線データは国土地理院発行の数値地図から取り出し処理加工して使用している。 蒸発散量を推定するにはペンマン式により計算した基準蒸発量に作物の種類と生長段階により異なる係数すなわち作物係数をかける必要がある。我が国では信頼の置ける作物係数のデータが少なく,データ蓄積を図る必要がある。研究代表者は今までに種々の圃場で微気象法により蒸発散量の測定を行ってきており,その結果を作物係数として整理した。併せて純放射量推定式を水田等での放射収支の実測値を元に検討を加えた。 本研究で得られた研究成果は研究成果報告書にまとめており,学術雑誌等へは順次発表してゆく予定である。
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