研究概要 |
鹿児島県北西部地震で被災した出水干拓堤防の液状化対策工法について,数値解析的にその効果を検討した.基礎地盤上層部に施工した砕石はドレーン効果を発揮し,小段部の盛土はカウンターウェイトとしてすべり破壊を抑制することがわかった.2つの液状化対策工法は汎用性もあり,有効であることを示すことができた. 平成13年3月芸予地震により愛媛県の干拓堤防に液状化被害が発生したため,楠河東干拓,楠河西干拓,西条西,長津干拓,福田干拓の合計5ケ所の調査を行った. 干拓堤防に関しては,堤防の海側の変状は全く見られなかった.消波工にも変状は認められなかった.楠河東干拓(東予市)においては堤内側堤防法尻,あるいは潮廻し水路,堤内地で液状化が見られた.本工区は細粒分まじり砂{SF}地盤で,築堤土も同様であり,相応の地震動が発生したものと考えられる.液状化により水路の柵工が水路側へ傾いている箇所があった.また,少々砂地盤が沈下したことにより排水機能の低下が予想される.楠河西干拓では液状化は見られなかった.西条西,長津干拓においても特に変状は認められなかった.福田干拓においては公園に転用されていたが,電柱に沿って下から砂が噴射した形跡が認められた.楠河東干拓および福田干拓で採取した噴砂の粒度分布を求めた.これによると,液状化した砂の大部分の粒径が0.040〜1.000mmにあり,液状化が起こりやすい地盤であったことが推測される.日本海中部地震の八郎潟干拓堤防,鹿児島県北西部地震の出水干拓堤防,鳥取県西部地震の中海干拓堤防の被害状況に比べると,無被害に近いといえる.
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