研究概要 |
試験目的と試験方法:新たに造成された農地は土壌物理性や土壌化学性等に不利な条件下にあることが指摘されており,持続可能な作物生産環境に改善する必要性がある。そこで,悪い生産環境を改善するために緑肥作物を導入し,その効果を追究した。実験では,3種類の試験を行った。試験1では,造成直後1年目にソルガム播種・栽培-すき込みを,2年目にカンショ栽培,3年目に長ダイコン栽培を行い土壌環境を土壌物理性と土壌化学性から生産環境を追求した。試験2では,造成後数年経過した圃場においてカンショと黒ダイズのマルチ栽培を行い,土壌および水環境管理の有り方を追求した。試験3では,造成後3年経過しても土壌環境が悪い圃場にアルファルファ,ヘイオーツ等の緑肥作物を栽培-すき込み,土壌改善効果を追求した。 試験結果と考察:試験1では,緑肥作物をすき込んだ直後の土壌物理性は改善されたが,その後,作物栽培を続けると徐々に悪化して行くことがわかった。試験2では,マルチ効果により定植前と収穫後の土壌物理性や化学性にはほとんど変化は見られないが,栽培期間中に被覆外からの水分移動が十分でないため被覆内の土壌乾燥が厳しい状態になった。試験3については,供試作物の生育不良で目ぼしい結果が得られなかった。以上の結果より,土壌環境を良好な状態に維持するには緑肥作物と食用作物の組み合わせを考えた土壌管理が必要であり,マルチ栽培では十分な有効水分を維持できるような土つくりと水資源の確保が必要であることがわかった。今後,さらに持続可能な生産環境創出のための実証試験を継続する必要性がある。
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