1.消滅要因別集落特性の分析を行なった。消滅集落の属性として標高・役場距離をYX軸としてとり地方的な特徴をみると、標高の高い中部山岳地域、役場距離の大きな北海道地方が両指標の先端に位置し、そのほかの地域はその中間に位置する。 2.消滅集落の属性のうち、実質的な空間的乖離指標といえる役場標高差・役場距離をYX軸にとると、標高差・役場距離いずれもやや大きい消滅集落の属する地域として四国地方・南近畿があげられる。過疎の先行地中国地方は、相対的にいずれの指標ともそれほど厳しくはない位置にある。過疎がもっとも早く起こったといわれる中国地方については、この地域の過疎化が単に役場所在地との「空間的」乖離ということだけではなく、その時代の杜会的・経済的圧力により進行したという示唆を与えるものと考えられる。 3.消滅理由別にみると、役場標高差・役場距離をYX軸とした場合、両指標が厳しい位置にプロットされるものからあげると、[E家族維持困難型][D就職地遠隔型][B自然災害型][C積雪型][A行政主導型]の順になる。空間乖離の厳しさと消滅理由の関連付けが見出されたと考える。 4.集落が消滅した後、集落へのアクセス道路も消失している場合の事例を検討した。全体としては17%の比率でアクセス道路が消失している。地域的には西日本で全般的にやや高い。アクセス道路の消失率は、空間的には標高・標高差の大きい消滅集落ほど大きい。しかしある期間が経過すると、標高・標高差にあまり関わらず2割程度まで道路の消失が進行するといえよう。
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