平成12年度には噴霧式紫外線殺菌システムを構築し、供試液体食品の流量や圧力といった噴霧操作条件が粒径・流速といった噴霧特性に与える影響を明らかにした。また噴霧された液体に紫外線を照射し、液体の循環・繰り返し噴霧が殺菌効率の向上に効果的であることを知った。そこで平成13年度は、システムにおける紫外線殺菌線量を増加させるため、紫外線ランプの本数を4本から12本に増加すると供に、ランプ1本当りの出力も10Wから15Wに大きくした。また噴霧ノズルで混合される圧縮空気に対する紫外線殺菌も実施した。供試する液体食品(蒸留水、りんごジュース、牛乳、醤油)については、その物性(密度、粘度、表面張力)を測定して、棚沢の式を用い噴霧圧力と噴霧粒径の関係を理論的に求めた。その結果、噴霧圧力の56kPa〜200kPaへの増加に従って噴霧粒径を低減できることが示された。一方、噴霧圧力の増加は噴霧速度の増加、すなわち紫外線照射エリアにおける供試液体の滞留時間減少につながるため、最適な噴霧圧力条件は実験的に求められる必要がある。そこでこれらの液体について、デコ培地で培養した大腸菌群を殺菌指標として使用し、噴霧圧力を変化させながら紫外線照射を行った。その結果、噴霧殺菌法の適用により、従来では殺菌効果の認められなかった水以外の液体食品も紫外線により充分殺菌されることがわかった。しかし殺菌率は噴霧圧力の増加に対して、全ての食品について減少することが示された。以上の結果より、低い噴霧圧力条件で噴霧式紫外線殺菌システムは液体食品の紫外線殺菌に充分適用できると結論された。
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