1.流動処理装置:開発した粒状セラミックス(平均粒径1.2mm)を供試して流動処理実験を行った。本セラミックスは変異荷電を有しており、水中で機械的に流動させ、摩擦や衝突作用を生じさせることにより水の電気化学的反応が大いに期待できる。そこで流動処理装置は観察できるよう透明塩ビ製とした。充填層(直径4.3cm、高さ18.5cmの円筒形)の上下をステンレス製のメッシュで仕切り、この中に一定量の粒状セラミックスを投入して、下方から上方へ水流を与えることによりセラミックスを流動させるようにした。充填層内を通過した水は水槽内にフィードバックさせる循環方式であるが、流量はバルブで調整できるようにした。基礎実験の結果、流量は10l/min時にセラミックス投入量300g以内であれば膨張比1.5で安定流動することが判明した。 2.流動処理効果:pHは処理時間の増加に伴い直線的に上昇し、セラミックスの作用によるpHの上昇は0.0l(5分処理)〜0.06(60分)であった。また酸化還元反応速度も大であり、循環処理直後のセラミックスの作用によるORPの増加量は76mv(5分)〜150mv(60分)であった。また処理経過後ORP値は減少し、250mv前後で安定した。 3.発芽勢に及ぼす要因効果:小松菜種子を供試して、25℃のインキュベータ内での発芽試験の結果、F検定による分散分析では処理直後の水には発芽勢に大きな差は見られない。しかし、10時間静置させた処理水には差が生じ、150g投入量区(発芽勢3%)<100g投入量区(3.5%)<200g投入量区(86%)であり、200g投入量区で最も高い発芽勢を示した。このことは、静置させることによりORP値が安定することと関係があると思われる。さらに200g投入量区では1回処理(ワンパス)でも発芽勢の向上効果が認められた。
|