1.四季にわたるイオン分析 イオンクロマトグラフ法による水中のイオン定量分析の結果、水処理により、春期はカチオンの減少・アニオンの増加に対し、夏期はカチオンの増加・アニオンの減少、冬期はカチオン・アニオンともに増加で、いずれも原水(水道水)に比べCa^<2+>、Cl^-を含め、全イオン量は221〜3092×10^<-7>mol/l増加した。 2.苗の比較 夏期と冬期におけるコマツナ苗を比較すると、夏期の平均根長では原水区8.6mmに対し処理区17.6mm、苗長では原水区13.7mm、処理区17.1mmとなり、それぞれ両区に統計的差が見られた。一方冬期では苗長に差はなかったが、双葉は原水区8.0mmに対し処理区10.8mmとなり差が生じた。 3.凝集効果 水の構造変化との関連を調べるため、水中における懸濁質に対し原水と処理水を供試して凝集作用の違いについて比較検討することとし、凝集剤にはPACと懸濁物にはカオリンを用いた。その結果、濁度除去率を向上させる上で、pHの範囲により最適なPAC注入率が存在した。すなわち、pHがアルカリ側に移行するにつれ、PAC注入率の増加に伴い濁度除去率は向上する傾向を示し、pH<7.5では濁度除去率のピーク値はPAC注入率5ppmで、処理区18.1%、原水区17.4%であった。また7.5≦pH≦8.0では濁度除去率のピーク値はPAC注入率10ppmで、36.1%(処理区)、28.1%(原水区)に向上した。8.0<pH≦8.5ではPAC注入率15ppmで濁度除去率のピーク値は処理区で最大(49.9%、原水区42.6%)を示した。概して、原水区に比べ処理区では、より少ないPAC注入率で濁度除去率が向上した。このことは凝集剤の添加によりカオリン粒子の電荷が中和され、凝集や沈降が生じるが、とくに処理水では電気化学的反応によりフロックが現れ易くなり、不溶化したアルミニウムの架橋作用を助けていることから、凝集効果は高められるといえる。
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