1.開発した粒状セラミックス(平均粒径1.2mm)は変異荷電を有しており、水中で機械的に流動させ、摩擦や衝突作用を生じさせることにより水の電気化学的反応が大いに期待できる。流動処理実験の結果、pHは処理時間の増加に伴い直線的に上昇し、セラミックスの作用によるpHの上昇は0.01(5分処理)〜0.06(60分)であった。また酸化還元反応速度も大であり、循環処理直後のセラミックスの作用によるORPの増加量は76mv(5分)〜150mv(60分)であった。また処理経過後ORP値は減少し、250mv前後で安定した。 2.イオンクロマトグラフ法による水中のイオン定量分析の結果、水処理により、春期はカチオンの減少・アニオンの増加に対し、夏期はカチオンの増加・アニオンの減少、冬期はカチオン・アニオンともに増加となり、原水(水道水)に比べ年間にわたるイオンの溶出濃度は安定する傾向を示した。 3.水の構造変化との関連を調べるため、水中における懸濁質に対し原水と処理水を供試して凝集作用の違いについて比較した。凝集剤にPAC、懸濁物にカオリンを用いた結果、処理水ではフロックが現れ易くなり、不溶化したアルミニウムの架橋作用を助け凝集効果は高められた。 4.簡易なシーケンス制御法として、タイムスイッチ、リレー回路、タイマで構成し水耕液循環用ポンプを作動させた。外部からの水供給は、タイマが一定時間経過後にタイムアップし、水供給用電磁バルブを作動させた。 5.水処理装置を組み入れたコマツナの生育・収量は処理区>対照区であった。さらに葉色濃度は間欠給液区>連続給液区であった。以上のことから、NFT周年栽培においては連続給液方式を基本とするが、間欠給液方式の採用による適切な水分ストレスを与えることで良品質かつ安定した生産が可能となることが示唆された。
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