最終年度は、画像処理による豚の非接触式体重計システムを実用化する観点から、同体重計を固定式から移動式にして豚房内や通路での豚の体重計測を迅速化するとともに、豚の投影面積および体高を求めるための画像処理の簡易化を探った。そして実用化に必要な基礎技術を完成し特許を出願、報告書を作成した。 1)移動式による体重計測の迅速化 豚房内や通路での豚の体重計測を短時間で行うため、体重計を固定式から移動式にした。北里大学附属農場の豚舎内天井に2豚房に跨りレールを設置し、それら体重計を吊下げ移動できるようにした。各豚房とも供試豚7頭の体重を計測した結果、約1/2の時間で計測でき、迅速化が向上した。 2)画像処理の簡易化 豚の体高と投影面積とを求めるためビデオカメラと併用されるスライドプロジェクターに、黄色線格子縞の赤色スライドを用い、さらに得られた豚のカラー画像の色彩処理にγ値補正を用いた結果、豚の画像処理と体重計測に最適な原画像を得た。これをもとに、Visual Basic言語を用いた簡易な画像処理ソフトを独自に開発、汎用のパソコンを使って、肉眼で容易に豚の体重計測が可能になった。供試豚7頭を対象に成長の著しい日齢87、91、106、118の4回(平均体重40〜70kg)、体重を計測、実測値と比較した。その結果、体重推定精度は、計測毎に各個体にばらつきが認められたもの1頭の平均誤差は±2.1%、群の平均誤差は±1.3%となり、実用に充分耐える精度を得た。 3)特許出願および報告書作成 これら実用化に必要な基礎技術を完成し、特許2件を出願するとともに、成果の報告書を作成した。 4)残された課題 (1)起立姿勢のみでなく横臥姿勢の豚の体重測定。(2)耳や尾の画像を自動的に消去し、複数の豚の画像を個々に自動的に識別でき、投影面積や体高を算出できる完全自動化画像処理ソフトの開発。
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