「島嶼型アグロフォレストリーシステム」に関する研究の一貫として本年度は下記の通りの成果を得た。 島嶼における林地空間を有効利用するために、森林生態系へ牛を放牧し、さらに、熱帯果樹を導入して、肉生産と果樹生産システムの確立をめざす。牛を放牧した林地に熱帯果樹の幼苗を移植した場合、放牧牛がそれらを摂食するため、果樹は枯死に至る。その食害防御対策としてワイヤーメッシュケージ法(琉大農学報1997、食害率0%)を確立した。しかし、この方法ではケージで囲まれた部分の果樹下部の雑草が繁茂するため果樹の生育に多大な影響を及ぼすことがわかった。果樹下草を防除するにはどうしたらよのか。今年度は内部の雑草を防除するためにワイヤーメッシュを上部にスライドさせ地際から30cm、45cm、60cmの3段階の処理を設けて実験を行った。その結果、30cm区において放牧牛による果樹の食害率が最も低く、下草の採食時間、最食量(防除)も多かった。また、牛によるケージ被害率も低かった。成牛より子牛の方が長い時間下草を採食していた。以上の結果からワイヤーメッシュケージ法はワイヤーメッシュを地上から30cm上部に移動させて林地に設置する事が望ましいことがわかった。次年度は林地に薬草(ウコン)を栽培したことを想定して、食肉鶏が人間や薬剤の代替としてウコン畑の雑草を防除することが可能かどうか、もし、可能であれば食肉鶏の放飼管理のあり方について検討する。
|