研究課題/領域番号 |
11660276
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
宮本 明夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (10192767)
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研究分担者 |
大谷 昌之 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (80250538)
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キーワード | 排卵 / 黄体形成 / 血管新生 / 血管内皮細胞 / アンギオテンシンII / プロスタグランジン / プロジェステロン / 生体微透析システム |
研究概要 |
本研究は、ウシの排卵とそれに引き続く新しい黄体形成現象の局所調節機構を、血管内皮細胞と卵巣ステロイド産生細胞の生理活性物質を介してのクロストークの視点から、細胞、組織、そして生体レベルで観察・検証し、これら2つの現象について普遍的概念を構築することを目的とする。初年度(平成11年)は、研究計画に沿って、まず生体微透析システムを手術的にウシの成熟卵胞膜と新生黄体内にそれぞれ埋め込み、排卵前後と黄体形成過程における局所生理活性物質の分泌像を生体レベルでリアルタイムに観察した。その結果、排卵前後では、PGF2αとangiotensin II(Ang II)の排卵卵胞膜内で活発に分泌され、このことが卵胞破裂と直接的に深く関わっていることを見出した。また、新生黄体内でも、PGF2αとAng IIの分泌が非常に活発で、この時期の活発な血管新生とprogesterone(P)産生能増加にこれらの因子が直接関わっていることを想定した。興味深いことに、この一連の時期では、黄体退行では重要な働きを演じたendothelin-1(Ang IIと同じ血管内皮細胞由来の血管作動性ペプチド)は卵胞・黄体の機能調節にほとんど関わっていないと考えられた。また、新生黄体内でPGF2α産生が活発であるという事実は、この時期PGF2α投与をしても、黄体退行は起こせないという事に直接関わっている可能性が示唆された。卵胞と黄体組織を用いたin vitroでの器官培養系の微透析システムを用いて、これらの仮説の正当性を確信するに至り、基本となる概念(卵巣内endothelin-angiotensin-ANPシステム)を既に国際専門雑誌で部分的に発表した(研究発表参照)。
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