研究概要 |
(1)放牧期間中の赤血球容積に関する遺伝的パラメータの推定 初放牧の日本短角種子牛約400頭のデータを用いて,遺伝的パラメータの推定を行った.放牧前のヘマトクリット値(Ht)と放牧期間中の最低Ht,および日増体量の遺伝率,遺伝相関をMTDFREMLを用いて推定した.母数効果として,性,農家,群,年次を取り上げた.血統は2代前までの情報を用いた.放牧前Htと最低Ht,および日増体量の遺伝率はそれぞれ0.61,0.16,0.67と推定された.それぞれの遺伝相関はいずれも正の値を示した.放牧前Htは他の2形質との間に表型相間がほとんど認められなかった.これら3形質を用いての,選抜による最低Htの改良は比較的容易であることが考えられたが,放牧前Htのみでの改良は困難であることが考えられた. (2)放牧期間中の血中リン脂質温度,組成およびその脂肪酸組成と貧血の程度の関係 初放牧の黒毛和種子牛14頭を用いて,放牧期間中の血液性状(赤血球数,Htなど)および血漿成分(尿素態窒素,総タンパク質,総コレステロール,総リン脂質,HDLコレステロールおよびリン脂質)の測定・分析を行った.放牧初期のHtが減少する時期には,Htとリン脂質およびHDLリン脂質の間の相関が高くなり,放牧期間中は各測定日で0.5程度の相関を示した.他の成分とHtの相関は各測定日間の変動が大きかった.リン脂質組成およびリン脂質の脂肪酸組成については現在,測定・分析中である.
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