精子レセプター活性を有すると考えられているウズラ卵黄膜ZPCタンパクに着目し、生合成とその調節機構を解明するとともに、レセプター活性の制御機構も調べ、次のような結果を得た。 1)さまざまな組織からRNAを抽出し、ノーザンブロッティングをおこなった。その結果、卵胞顆粒膜細胞のみで分子量1.4KbのZPCmRNAが検出され、ZPCタンパクは顆粒膜細胞が作っていることを明らかにした。また卵巣に存在する発育段階の異なる卵胞に含まれるZPCタンパクをウェスタンブロッティングで調べた。その結果、ZPCタンパクは卵胞発育の最終段階で作られることを明らかにした。 2)顆粒膜細胞を卵胞発育段階別に各種ホルモンとともに培養し、ZPC様タンパク合成に及ぼす効果を調べ、FSHとテストステロンを添加した場合、顆粒膜細胞でのZPCmRNA発現レベルが上昇し、ZPCタンパクの合成・分泌量も有意に増加した。さらに放射性同位元素を用いたパルスチェイス実験をおこない、実際にZPCタンパクの合成量が増加することを確かめた。 3)卵黄膜内層を精子とインキュベーションすると、卵黄膜内層に孔があく。その際に抗ZPCタンパク抗体を添加すると、濃度依存的に孔の数が減少した。タンパク分解酵素の阻害剤の存在下では、抗体の添加によって卵黄膜内層への精子結合数の減少が見られた。これらの結果からZPCタンパクが精子との結合に重要な機能を果たしていることがわかった。
|