家禽卵黄膜ZPCタンパクに着目し、生合成とその調節機構を解明するとともに、生理的機能を調べ、次のような結果を得た。 1.様々な組織からRNAを抽出し、ノーザンブロッティングをおこなった。その結果、卵胞顆粒膜細胞のみでZPCmRNAが検出され、ZPCタンパクは顆粒膜細胞が作っていることを明らかにした。また卵巣に存在する発育段階の異なる卵胞に含まれるZPCタンパクをウェスタンブロッティングでも調べた。 2.顆粒膜細胞を卵胞発育段階別に各種ホルモンとともに培養し、ZPC様タンパク合成に及ぼす効果を調べ、FSHとテストステロンを添加した場合、顆粒膜細胞でのZPCmRNA発現レベルが上昇し、ZPCタンパクの合成・分泌量も有意に増加した。 3.卵黄膜内層に存在するZPCタンパクは排卵前と産卵後で電気泳動の移動度が異なっている。アミノ酸配列を解析したところ、排卵後に26アミノ酸が除去されたことが示された。最大卵胞の卵黄膜内層を卵管漏斗部に挿入したり、卵管漏斗部の抽出液とインビトロでインキュベーションしたりとう実験によって、排卵後のZPCタンパクは卵管漏斗部から分泌されるタンパク分解酵素によって修飾されていることを示した。 4.卵黄膜内層を精子とインキュベーションすると、卵黄膜内層に孔があく。その際に抗ZPCタンパク抗体を添加すると、濃度依存的に孔の数が減少した。タンパク分解酵素の阻害剤の存在下では、抗体の添加によって卵黄膜内層への精子結合数の減少が見られた。これらの結果からZPC様タンパクは精子との結合に重要な機能を果たしていることがわかった。
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