本年度は、ブタ精子の細胞膜に対するリラキシン様蛋白質の結合と結合部位、並びに結合部位の化学性状についての解明に挑戦し、以下の成果を得た。 1.特異抗体の作製:報告者により精製された13kDaのリラキシン様蛋白質を抗原として家兎に免疫し、とくいpolyclonal抗体を作製した。得られた抗体は、高い免疫学的特異性と組織特異性を有していた。 2.豚精子に対するリラキシン様蛋白質の結合特性:時間分解蛍光法を用いたリガンドアッセイ法(TR-FlA法)を確立し、精子に対するリラキシン様蛋白質の結合を調べた。その結果、リラキシン様蛋白質は豚精子細胞膜に特異的に結合することが明らかとなった。 3.結合部位の同定:リラキシン様蛋白質の特異抗体を用いた免疫組織化学的解析により、本蛋白質は精子細胞膜の先体(頭帽)、中片部および尾部に結合することが同定された。 4.結合部位の化学性状:蛋白と脂質の両面から解析した結果、RXN様蛋白質は精子細胞膜を構成している蛋白質とリン脂質の両者に結合することが究明できた。
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