本年度は、昨年度の研究成果を基に、豚精子へのリラキシン様蛋白質の結合の生理学的意義の解明に挑戦し、以下の成果を得た。 1.リラキシン様蛋白質はコレステロールの運搬と関係の深い高密度リポ蛋白(HDL)とも結合することを見出し、コレステロールのdocking蛋白としての機能を合わせ持つ可能性のあることを究明した。 2.豚精子にリラキシン様蛋白質を添加して炭酸ガス培養器で37℃で4時間インキュベーションし、精子の受精能獲得を蛍光CTC法により経時的に調べた結果、本蛋白質は直接豚精子の受精能獲得を誘起することが明らかとなった。また、その効果は、添加した本蛋白質の濃度に依存していることが判明した。 3.リラキシン様蛋白質による豚精子の受精能獲得効果は、最近使用され始めている薬剤でのβ-シクロデキストリン(β-CD)と同等の効果を示し、かつβ-CDに比べてその作用がマイルドであることが究明できた。
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