研究概要 |
平成11年度に確立した競合PCR定量系を応用し、反すう動物ルーメン内の繊維分解性主要3菌種(Fibrobacter succinogenes, Ruminococcus albus, Ruminococcus flavefaciens)の動態解析を行った。その結果、3種のうちF.succinogenesが他の2菌種にくらべ圧倒的に多く、かつこの菌種は粗飼料多給時に有意に増加した。ルーメン内での分布密度を算定したところ、F.succinogenesが約0.1%、R.albus, R.flavefaciensが各々約0.001および0.01%となった。F.succinogenesは日本、韓国、カナダいずれの反芻家畜(ウシ、ヒツジまたはヤギ)のルーメンで検出定量されたが、Ruminococcusについてはかならずしもすべての動物で認められるわけではなかった。F.succinogenesはヒツジ後腸でもルーメンに匹敵する密度で検出されたが、Ruminococcusは検出されない場合もあった。これらの結果は、F.succinogenesが反芻家畜消化管の繊維分解において重要な役割をもつことを示唆している。一方、F.succinogenesとRuminococcusの顕微鏡下での特異的検出をめざし、蛍光in situ hybridizationの開発を試みた。16SrDNAの種属特異領域をターゲットとする蛍光プローブに対する反応条件を検討したところ、純菌レベルではいずれも明瞭な蛍光検出が可能であった。またルーメンサンプルに添加した純菌も検出できたが、ルーメンサンプルそのものからは蛍光検出が難しく、これは標的菌の分布量の低さに関連しているものと判断された。
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