ウシ核移植に伴う体細胞の脱分化や全能性の獲得過程における遺伝子発現の特異性の解明を目的として、研究初年度の本年は、遺伝子導入を行わない細胞をドナーとした核移植を行い、核移植に伴うドナー細胞核の遺伝子発現の変化を明らかにし、レポーター遺伝子の調製と培養細胞への遺伝子導入条件の検討を行い、以下の成績を得た。 1. 飢餓処理したウシ胎児繊維芽細胞を除核未受精卵に注入後、電気融合させた後、体外培養を行い、融合胚の30%が胚盤胞まで発生した。 2.ドナー細胞、核移植直後の1細胞期胚ならびに2細胞期胚の蛍光Differentiald is playパターンの比較により、核移植後発現が停止するバンドを13、発現が開始されるバンド7本を検出した。 3.自家蛍光を発するGFPベクター(pEGFP-1)のEcoRIおよびPstIの間の部位に、胚で発現が確認されているPGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)のプロモーター領域を連結し、レポーター遺伝子の構築を行った。 4.GFPベクターを細胞に導入するため、2ugのベクター10ugのlipofectamineを100ulの血清不含の培養液で希釈し、80%コンフルエント状態の胎児繊維芽細胞にトランスフェクションを行った。その結果、2日後には34.5%、20日間の選抜後は54.9%の細胞でGFPが発現した。
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