分娩前後〜離乳期に至るラットから下垂体前後を採取、細胞を単離し、免疫細胞化学蛍光二重染色法を用い、PRL、GH並びにPRL/GH細胞を同定し、その発育様相を明らかにした。また、雌雄の発現様相を比較することによりsexual dimorphismの有無を確認した。 【実験1】生後0〜20日目のラット乳子から血清、下垂体を採取した。下垂体は、0.25%TritonX-100を含むpH7.4のPBS 1ml中でホモジネート、遠心分離し、上清を抽出サンプルとした。その後、血清サンプルと共にNb2 rat lymphoma cell bioassayによりPRL濃度を測定した。乳子の下垂体重量とタンパク質含量は雌雄とも成長に伴って増加を続けたが、20日目では雌が有意に高かった。下垂体前葉PRL含量は生後12日目以降急激に増加した。また、生後20日目において雌が雄より有意に高かった。血清中PRL濃度は雌雄ともに生後0日目に高値を示したが、それ以降は低値を推移した。【実験2】胎生末期〜生後20日目の胎子および乳子を雌雄に分け、下垂体を採取した。採取した下垂体前葉はtrypsin処理により分散し、免疫細胞化学を行い、蛍光顕微鏡下で観察、撮影し、PRL、GH、PRL/GH cellを計測した。PRL cellは、周産期にほぼ一定に増加し、生後12日目以降再び著しく増加した(20日目:約10%)。また、生後4日目以降どのステージにおいても雌が雄より高い傾向にあった。GH cellは胎生20日目で約10%存在し、その後は30%を推移し、生後7日目以降は雌の方が高い傾向にあった。PRL/GH cellは、生後0日目から雌雄ともその存在が確認された。 下垂体PRL細胞は、胎生期〜生後4日目、12日目以降〜成熟期という2蜂性の発育パターンを示し、12日目以降の発育にはsexual dimorphismを伴うことが明かとなった。また、この成長様相はGH細胞のものと明らかに異なった。
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