本年度は、わが国で分離された豚コレラウイルス16株を対象に、現有のサーマルサイクラーを用いてネステッドRT-PCR法により、ウイルスゲノムの5'端非コード領域およびNS5B領域を増幅させ、その塩基配列を決定した。最初に、供試豚コレラウイルス材料からRNAを抽出し、ウイルスゲノムの5'端非コード領域および3'瑞のNS5B領域のそれぞれ下流に位置するプライマーを用いてcDNAをM-MLV逆転写酵素により合成した。得られた1本鎖のcDNAを基質として、逆転写反応に用いた下流のプライマーとそれぞれの上流に位置するプライマーを用いて、PCRを行った。これにより5'端非コード領域からは約300塩基対の、また3'端からは約400塩基対の大きさのPCR産物がそれぞれ得られた。PCR産物はアガロースゲル電気泳動により分画し、紫外線トランスイルミネーターにより観察した。得られたPCR産物はダイデオキシ法によりその塩基配列を決定した。さらに、得られた塩基配列を既知の塩基配列とともにコンピュータにより系統解析を行ったところ、これらの豚コレラウイルス株が3群に分かれることが明らかになったので、その成果を日本獣医学会およびドイツにおいて開催されたペスティウイルス学会議において公表した。
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