研究課題/領域番号 |
11660295
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大森 保成 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (60152261)
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研究分担者 |
福田 勝洋 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (10012022)
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キーワード | 仙髄副交感神経節前細胞 / 交感神経節後細胞 / 知覚神経細胞 / 筋層間神経叢 / 粘膜下神経叢 / 一酸化窒素 / 大腸 / 鶏 |
研究概要 |
鶏の腸管には交感神経と副交感神経、Remakの腸神経による外来性神経支配と、壁内に存在する筋層間神経叢及び粘膜下神経叢による内在性神経支配があり、これらがお互いに協調して腸管の消化吸収機能を調節している。本研究では、HRPの軸索内輸送標識法により鶏の腸神経大腸部に投射する交感神経と副交感神経の起始細胞を明らかにした。大腸部で腸神経を切断してその尾側断端にHRPを用いると、仙髄副交感神経節前細胞が第30〜33脊髄節の高さで両側性に標識された。片側の陰部神経を切断しておくと切断側の節前細胞は全く標識されなかったので、副交感神経節前線維はすべて陰部神経を経て投射する。さらに大腸の壁内にHRPを直接注入すると副交感神経節前細胞は標識されないので、節前線維は腸神経の神経節細胞にシナプスすると思われる。一方、交感神経はごく少数の節後細胞が第31と32幹神経節で標識されたが、大腸に注入したときよりもはるかに少ない。交感神経節後線維は腸神経内を吻側に走らずに腸神経と交差して大腸へ投射すると思われる。知覚神経細胞は第17〜25と第29〜34の脊髄神経節に二峰性に分布した。もう一つの実験として、腸管の壁内におけるNADPHジアフォラーゼ陽性神経節細胞の分布を調べた。この反応は非アドレナリン作動性非コリン作動性神経伝達物質と考えられているNOを合成する神経細胞の検出のために用いられる。筋層間神経叢における陽性神経節細胞は食道と腺胃に多く、ついで回腸と直腸に見られた。粘膜下神経叢では特に直腸に多く見られた。NOを含有する神経節細胞は部位により分布密度が異なった。また本年度はドイツからNecker教授を招へいし、本研究に関する研究計画の立案や具体的な研究方法、今までに得られた研究成果について直接レビューを受けた。さらに鳥類の脊髄で新たに見つかった大変ユニークな平衡感覚器について生命農学研究科の教官と学生を対象にしてセミナーを行った。
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