昨年度の実験より、Nippostrongylus brasiliensis (NB)排除の重要なエフェクター細胞は消化管杯細胞であることを示唆した。また杯細胞の増加にはT細胞を介した免疫調節機構が関与することが示唆されていること、またNB感染時には腸間膜リンパ節(GALT)が腫大することより、杯細胞の増加とGALTとの関係を検討した。 遺伝的にGALTを欠損するaly/alyマウスを用いて、NB感染後1週での消化管内の寄生虫数、NB感染時における腸管杯細胞数、またTh2免疫エフエクター機構の活性化の指標となるマスト細胞数、好酸球数、血中IgE濃度について、経時的に測定した。杯細胞はNBの排除の時期に増加が見られ、aly/alyマウスにおいても正常対照群と同等の増加であった。また腸管内の寄生虫も、対照群と同程度であり、その数は移入数の約2%であった。マスト細胞、および好酸球数はaly/alyマウスにおいても正常対照群と同様の増加が認められた。しかし、マスト細胞数については、NB排除後に正常対照群は高値を持続するのに対して、aly/alyマウスでは減少が認められた。一方、aly/alyマウスにおいては血中IgE濃度の上昇は認められなかった。 aly/alyマウスでも感染後1週目で消化管内NBは移入数の2%まで減少していることより、正常対照群ど同様に排除機能が活性化していることが明らかとなった。また直接のエフェクター細胞だと考えられている杯細胞の増加には、GALTが必須でないこと、またNB感染時のTh2免疫エフェクター機構の活性化にもGALTが必須でないことが示唆された。しかしIgE産生にはGALTが必須であることが示された。
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