研究課題/領域番号 |
11660298
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
後藤 義孝 宮崎大学, 農学部, 助教授 (30142136)
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研究分担者 |
新城 敏晴 宮崎大学, 農学部, 教授 (10040859)
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キーワード | 免疫誘導 / Nramp-1遺伝子 / 感染抵抗性 / マクロファージ / ナチュラルキラー(NK)細胞 / M.avium / M.intracellulare / インターフェロン(IFN-γ) |
研究概要 |
鳥型結核菌(M.avium)をはじめとする非定型抗酸菌は人をはじめ哺乳類や鳥類に結核と類似した病気をおこす。これらの菌に感染したマウスはNRAMP-1遺伝子型によりその運命が決定される。我々のマウス実験モデルにおける感受性差はNRAMP-1遺伝子上のわずか1塩基の違いに基づいている。我々はM.aviumとM.intracellulareという2つの抗酸菌種を用いたin vitro感染実験において、異なるNRAMP-1遺伝形質をもつマクロファージ内での増殖パターンが異なることを見出した。すなわちM.aviumは感受性(NRAMP-1^<s/s>)マウス由来マクロファージでのみ増殖がみられるのに対し、M.intracellulareでは抵抗性(NRAMP-1^<r/r>)由来のマクロファージでも感受性のそれと同様、菌増殖を許してしまうことが分かった。このことはin vivoでみられる感染初期抵抗性が単にマクロファージ内における菌増殖の差異によってのみ生じるものではないことを示している。NRAMP-1遺伝子型の異なるマウスではネズミチフス菌の刺激に対してNK細胞のもつIFN-γの産生能力が異なっていることが最近明らかにされたので、我々もまたM.intracellulare感染におけるNK細胞の働きとNRAMP-1遺伝子との関係をしらべてみた。その結果、NK細胞数は感染早期(〜48時間)に有意に増加すること、in vitroにおける感染実験では感染後12ないし48時間で大量のIFN-γ産生が誘導されることが分かった。ただしネズミチフス菌が感染した場合と異なり、NRAMP-1^<s/s>マウスとNRAMP-1^<r/r>マウスとの間で有意差がみられなかった。こうした結果はNK細胞が抗酸菌感染症においてもIFN-γを介した免疫応答に深くかかわっていることを示す一方で、細胞内寄生性細菌に対するNRAMP-1介在性の抵抗性発現には複数の細胞と因子が複雑に関わっていることを示している。
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