今年度は、免疫増強配列をウマへルぺスウイルス1型(EHV-1)に導入するために必要なものを下記のように調整した。 1.マウスサイトカイン遺伝子のクローニング:本研究ではマウスを用いて組換えウイルスの評価を行うので、マウス由来のサイトカイン遺伝子をEHV-1ゲノムに導入する。細胞性免疫を惹起するIL-2、IL-12、IFN-γ遺伝子をリポポリサッカライドで刺激したマウスの末梢血単核球から抽出したRNAを用いてRT-PCRで増幅し、発現用プラスミドベクターにクローニングした。各サイトカイン遺伝子の正確な蛋白発現を確認した後、これらのサイトカイン遺伝子をEHV-1ゲノムへの遺伝子導入用プラスミドに連結した。 2.DNAアジュバントの調整:これまでに報告されているDNAアジュバントの塩基配列をもとにオリゴヌクレオチドを合成し、それをEHV-1ゲノムへの遺伝子導入用プラスミドに連結した。 3.自立複製不能型EHV-1の作出:EHV-1のウイルスゲノムから感染性ウイルスの構築に必須のgD遺伝子、ウイルスの生体での増殖性ならびに拡散に関わっているgE、gI、と71番遺伝子を欠損させた組換えウイルスの構築を試みた。これらの遺伝子はEHV-1ゲノム上でクラスターを形成している。このウイルスの複製のために、これら4種類の遺伝子産物を相補的に発現する細胞株を樹立した。次いで、これら4遺伝子の代わりにβ-ガラクトシダーゼ(gal)遺伝子を挿入した遺伝子導入用プラスミドを調整し、相同組換え法にて自立複製不能型のEHV-1をβ-gal活性を指標に選択し、現在、その性状解析を行っている。
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